樹木を並べて植えて、敷地や窓の目隠しや、境界の壁代わりにする「生垣」は古くから使用されてきました。
壁やフェンスだと重苦しく、無機質で冷たい印象になってしまう場所でも、木を使うと優しい印象になります。
しかし、いざ生垣を作ろうと思っても、どんな木を選べばいいか簡単には決められませんよね。
今回は、生垣に適した木、場所によっては生垣にできる木、よく見かけるけれど生垣にはおすすめしない木を紹介します。
生垣に適した樹木の特徴5つ
まずは、生垣に適した樹木の特徴を5つ紹介します。
これら全てを満たす木はなかなかありませんが、用途やご希望に合わせて少なくとも3つは満たす品種を選ばれることがおすすめです。
- 常緑樹
- 生長が緩やか
- 虫がつきにくい
- 枯れにくい
- 葉が密に茂る
それぞれの理由を説明します。
【1】常緑樹
樹木は常緑樹と落葉樹に大きく分けられますが、生垣に適しているのは常緑樹です。
目隠しとして植えた木の葉っぱが秋に全て落ちてなくなると、あまり意味がありませんよね。また、枝だけになった生垣は刺々しい印象や寂れた印象を与えます。
生垣には年中葉っぱが茂っている常緑樹を選びましょう。
【2】生長が緩やか
生垣は壁の代わりや目隠しとして、決まった幅・奥行き・高さを保つ必要があります。
手入れ回数を減らすためにも、生長が緩やかな木を選ぶ事がおすすめです。
【3】虫がつきにくい
虫の中には毒を持つものや葉を食い荒らしボロボロにする害虫がいますので、できるだけ虫のつきにくい木を選ぶ事が大切です。
特に、虫が苦手という方は、あらかじめ調べておくと良いでしょう。
【4】枯れにくい
植木として選ぶ木は、枯れにくいものを選ぶのは当然と思われるかもしれません。
その中でも特に生垣の場合は、同じ種類・同じ大きさの木を並べて植えるので、部分的に枯れると修復が大変になります。
できるだけ水やりや施肥などのお手入れが少なくて済み、環境に左右されにくい品種を選ぶ事が大切です。
【5】葉が密に茂る
生垣を壁や目隠し代わりに植える場合、葉が密に茂るタイプの木を選びましょう。
葉が大きく、枝が少ないと、剪定したときや葉っぱが落ちたときに向こう側が透けて見えますので、できるだけ小さい葉で、細かく枝分かれする品種が好ましいです。
生垣におすすめの植木4選
では早速、生垣におすすめの木を4種紹介します。
- イヌマキ
- レッドロビン
- キンモクセイ
- トキワマンサク
それぞれの特徴について簡単に説明します。
【1】イヌマキ
イヌマキは前章で紹介した「生垣に適した樹木の特徴5つ」全てに当てはまる稀な木です。
半光沢の深い緑色をした、5cmほどの細長い葉が青々と茂るイヌマキは、昔から生垣や一般家庭の庭園に使用されてきました。
マキにはラカンマキ・コウヤマキなど色々な品種がありますが、生垣につかわれるマキはイヌマキが一般的です。念のため、どの品種か確認しておきましょう。
9月〜12月に年一回、刈り込み剪定を行い、形を整えるお手入れが必要です。
【2】レッドロビン
鮮やかな赤色の新芽が特徴的なレッドロビンは、生垣用といっていいほど、よく生垣に使用されています。
古くから親しまれたいた、和種のベニカナメモチとほとんど見た目は変わりませんが、レッドロビンはベニカナメモチに比べ虫がつきにくいというメリットがあります。
ただ、元気な株は勢いよく伸びるので、スペースが限られている場合はこまめな剪定が必要です。
基本的には年1回秋に剪定を行いますが、隣家との境界や道路沿いなどで気になるという場合は、年に2回、5月と10月に剪定を行うと良いでしょう。
【3】キンモクセイ
秋に良い香りの花をつけるキンモクセイは、丸い形の中木として人気がありますが、実は生垣にも適した樹木です。
伸びにくく虫もつきにくいというメリットがありますが、きつく剪定すると、葉の密度が減り、透けて見えてしまうというデメリットがあります。
剪定は年一回秋に行います。
【4】トキワマンサク
5月頃に花をつけるトキワマンサクは最近人気の樹木で、生垣としても良く見かけるようになりました。
特に、ピンクの花をつけ、葉っぱや枝も赤みを帯びたベニバナトキワマンサクは、エクステリアのアクセントとして効果的です。
生垣にも適しており、年に1回秋に剪定を行う程度のお手入れで済みます。
ただ、葉っぱの表面に細かい毛がたくさん生えていて、人によってはかぶれるかもしれないという注意点があります。小さいお子様が近くを通る場所では避けられた方が良いかもしれません。
場所によっては適している植木3種類
ここまで紹介した中で、イメージに合う植木がないという場合、次に挙げる木も場合によっては生垣に使えます。
- カシノキ
- カイヅカイブキ
- イヌツゲ
それぞれ特徴と注意点を見てみましょう。
【1】シラカシ・アラカシ
カシは葉っぱがよく茂り、目隠しとしても重厚感が出るのでマンションやビルの生垣や植栽に使用されています。
ただ次のような注意点がありますので、適切な管理が必要です。
- 虫がつきやすい(イラガなど)
- 病気になりやすい(ウドンコ病など)
- 木が硬く枝を切るのに時間がかかる
手入れ作業が多いので、広範囲の場合は、植木屋に管理を任されることがおすすめです。
【2】カイヅカイブキ
昔は生垣などによく使用されていましたが、最近はあまり使われなくなった植木です。
虫がつきにくいし葉もしっかり繁りますが、かなり伸びやすくて管理が大変なので、個人宅にはおすすめではありません。
排気ガスをよく吸うと言われているので、年間管理業者に手入れを任せられる工場敷地などにはおすすめです。
【3】イヌツゲ
生垣に適した木の特徴として「生長が緩やか」という点を挙げましたが、ツゲは逆に生長スピードが遅すぎる木です。
小さい生垣や、限られたスペースに部分的に植えたいという場合にはぴったりかもしれませんが、大きくなることを想定して余裕をもたせて植えると、スカスカのままになる可能性があります。
また、デリケートで枯れやすいというデメリットもあります。
実は生垣に適していない植木ワースト3
ここでは生垣としてよく使用されているけれど、実はおすすめではない植木を3つ紹介します。
- ウバメガシ
- サザンカ
- プリペット
それぞれの注意点をご覧ください。
【1】ウバメガシ
葉が細かく生垣向きに見えますが、次のようなデメリットがあります。
- 枝が固く手入れしにくい
- 病気になりやすい
- 切り口が茶色くなって汚い
【2】サザンカ
花も付き、光沢のある葉がたくさん茂るサザンカも人気ですが、「チャドクガ」という害虫が付くのでおすすめではありません。
チャドクガは卵も幼虫も蛹も成虫も全部に毒がある厄介な毒虫で、直接触れなくても、風に乗って毒のある細かい毛が飛んでくることがあり危険です。
【3】プリペット
プリペットは可愛い葉っぱや花が付くため人気があり、葉の密度も高いので生垣に使いたいという方も多いです。ただ、次のようなデメリットがあるので、おすすめではありません。
- 葉が落ちやすい
- 伸びやすいので剪定が大変
- 毛虫・青虫が付く
生垣管理で気をつけておくこと
実際に生垣を植えて管理するときの注意点を紹介します。
- 土の柔らかい植栽スペースに植える
- 少なくとも年1回剪定を行う
生垣は高さ約1.8m規格が一般的で、2mに5本くらいの間隔で植えます。植える土は、柔らかくほぐし、園芸用の土などを混ぜておくと良いでしょう。
最初のうちは、細い木が風で揺れるせいで根が張りにくく、枯れてしまうリスクがあるので、支柱をつけておくことがおすすめです。
植木屋さんに頼んだら支柱の設置まで行ってもらえることが多いので、自分でやるのは大変という場合は依頼もご検討ください。
生垣に適した木を選んで管理するのがおすすめ
今回は、生垣に適した木と、管理方法について簡単に紹介しましたがいかがでしたか?
園芸用といっても様々な樹木があり、用途や、植える場所によっては向き不向きがあります。生垣に適した木の特徴を知って、合うものを選び、素敵なお庭にできるといいですね。
新築や転居の際はハウスメーカーや植木屋に相談するのも一つの手です。
大阪で生垣植栽にお悩みの際は植木屋松正にお問い合わせください。